LED ZEPPELIN

2018年5月 6日 (日)

「LEDED」(後編)

(前編から)
 
 
①THE TRAIN KEPT A ROLLIN’ (69/7/6,NEWPORT)
②I CAN’T QUIT YOU (69/7/6,NEWPORT)
③HOW MANY MORE TIMES (69/5/19,BOSTON TEA PARTY)
④COMMUNICATION BREAKEDOWN (70/1/9,RAH)
⑤WE’RE GONNA GROOVE (70/2/25,HELSINKI)
⑥BRING IT ON HOME (70/9/4,LA FORUM)
⑦CELEBRATION DAY (71/9/9,HAMPTON)
⑧OVER THE HILLS AND FAR AWAY (72/10/9,OSAKA)
⑨SINCE I’VE BEEN LOVING YOU (72/10/9,OSAKA)
 
⑩THE SONG REMAINS THE SAME (73/3/24,OFFENBURG)
⑪ROCK AND ROLL(FRAGMENT) (75/2/12,MSG)
⑫HEARTBREAKER (73/3/24,OFFENBURG)
⑬NO QUARTER (77/4/28,CLEVELAND)
⑭ACHILLES LAST STAND (77/6/21,LA FORUM)
⑮STAIRWAY TO HEAVEN (75/5/18,EARL’S COURT)
⑯HEARTBREAKER-WHOLE LOTTA LOVE (73/7/28,MSG)
⑰-WHOLE LOTTA LOVE (73/3/21,HAMBURG)
⑱-WHOLE LOTTA LOVE (73/7/28,MSG)
⑲THE SONG REMAINS THE SAME (77/6/21,LA FORUM)
⑳HEARTBREAKER (80/6/21,ROTTERDAM)
 
 
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⑪2回目の来日公演に手を出した’59少年は友人からデストロイヤーと
ネブワースを借り、80年のヨーロッパに手を出し、さて、次は…と思案した結果、手を出して来なかった75年に手を出したのだった(ダラス)。
で、MSGが聴いてみたくなったのだけれど、これはもうベストテイクとは言えないかもしれない。

なぜなら“驚異の音源”フライング・サーカスがリリースされても、依然として私はこの音源が好きなのだ。MSG独特のハコの音、ボンゾのドンシャリした音、ジミーのラウドなギター。

ああ、ZEPのライブが始まったな、という感じがする。なぜかこっちの音源(ジャンプレッグ)のほうがワクワクする。オーディエンスのほうがアラが目立たないのかも?
ご友人に配布したテープはここでA面が終了。

⑫またまたハートブレーカー。これは要らなかったかも。
何かオッフェンブルグを1曲にするのも気が引けたのか。今ならこの曲の代わりに75年のダラスかヴァンクーヴァーから1曲持ってきているかも。

しかし絶好調であることは変わらず、ロバートも歌えているし、ソロはバッハもフィーリン・グルーヴィーもやってる。

⑬デストロイヤーの前の日。
75、77年は(79も?)3時間コンサートだが、この辺、やっぱり時代を見誤ったかもしれない。それに相当消耗している様子も伺える。

そんな中、アコースティックで遊んだりとか、この曲で遊んだりとか、モビー・ディックで引っ込んだりするのに加えて休憩タイムも設けてる。

この曲ではナットローッカーをやってて、ジミーも乗っかってきたりしている。休憩半分、お客を煽っているのかもしれない。ジョンジーの才能がよくわかるバージョンでいいテイク。

⑭これは悩んだ。いろいろ探した。結論はベストはなかった。あまりうまくいっている日はないのだ(笑)。

結局エディの日になったが、今は満足している。この日特有の緊張感が伝わってくる。

⑮これは最初から決まっていた。アールズコートの2日目。この日も私にしては珍しく、イミグラントを買ったあと、タランチュラも買っている。

何をもってベストテイクとするのかは難しい作業だが、このテイクの訴求力は著しい。ソロにおける3人は熱演だ。ジミーもソロに迷っていない。
この日だけではないが、ソロの最中にロバートも入ってくる。“Join, Join !”と叫んでいる。

⑯さあ、ここからアンコール。アンコールと言えば2回目のハートブレーカー。73年USAツアーはボンゾ導入のハートブレーカー。

「オフィシャル化された」などと言ったが、正確にはオフィシャル化されたのは初日で、私がセレクトしたのは2日目。イントロのボンゾは毎日違う。この日はハイハットから始まる。ゾクゾクする。

この曲、結構その日のジミーの調子に左右される。それが先に書いたようにアンコール曲となる時とそうでない時の違いなのかもしれない。
そうでない時は、勢いだけで弾いている(というか、弾けていない)。
MSG3日間は、どの日も丁寧だ。強弱がついている。リズム隊も好調。私にはわからなかったが、このソロの途中で弦が切れているという説もある。

そのまま、流れで「胸いっぱいの愛を」。

この曲。ボンゾも然ることながら、ジョンジーのベースにぶっ飛ぶ。最終日はぶっ飛び過ぎ(80ベルリンもね)。
 
最終日もものすごく良くて悩むところだけれど、結局映画もサントラも初日を選んだ理由がなんとなくわかる。それでも私は、この曲は2日目を選んだ。

ところがそれに飽き足らず、途中にハンブルグのジェームズ・ブラウン・タイムを織り込んでみた(⑰)。
 
最初にこの部分だけ聞いたときは驚いた。この人たち、いったい何やってんだろう、って(笑)。でもこういう音源に接すると、たまらない。
73年のヨーロッパだからこそ、残せた音源だと思う。

もともとfragmentなので、⑯に戻る(⑱)。

⑲言わずとしれたエディ。

⑳で最後はやっぱりハートブレイカー。
ラスト・ツアーからチューリッヒ。これも2つ音源に手を出したが、名演は音源が違っても熱が伝わってくるようだ(①と⑪は惜しいけど…)。

熱は伝わるが、4人とももう、⑫や⑯のような7年前の鬼気迫る感はない。
でも紛れもなくツェッペリンだ。思ったとおりの運指ができなくても、目指すところは伝わってくる。お互い刺激しあっている。これはもう、聴く方の頭の中で再構成してやるしかない。それはまた、ボンゾが生きていたら、というのを想像してみることと、変わりない作業かもしれない。
この日は、この曲も含めての好演で、昔から大好きな一枚。
 
※ ※ ※ ※ ※

さて、いかがでしたか。

冒頭で「今聞いてもこのリストアップが変更になる可能性はあまり考えられない」と書いたけれど、どうですか。

この20年間に新たに出回った音源で、あれを入れるべき!とかあったら教えてください。
 
それにしても、ボンゾには驚きしかない。当時、200前後の音源を聴き返したとき、モビー・ディックで決して飽きることはない。929がリストにないが、入れるとすればこの日のモビー・ディックを入れたい。ルイス・レイの著作にも“most imaginative drum solo ever recorded”と書かれているが、“imaginative”かどうかは別として、“unique”であることは間違いないと思う。トイレ行ってスッキリしたあとだし。
 
(逆にレイン・ソングだけは、なぜか苦痛だった。ボンゾの出る幕もほとんどないけど…。)

今更ながら、ツェッペリン・サウンドというのはボンゾが主導していて、死去による解散というのは致しかたなかったと思う。


選曲はハートブレイカーが3曲も入っているのにイミグラント・ソングが入っていないとか、死にかけてが入っていないとか、いろいろある(まあ、死にかけてはスタジオ・テイクが一番いい)。
 
巷では、929の超絶サウンドボードが1曲1曲出し惜しみされ、高価で販売されている。まったく食指が動かないが、ジミー・ペイジはデビュー50周年でいろいろ世に出す、と言っている。ぜひぜひ、部屋の一角を占めているブート群が無効化するようなリリースを期待したい。

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「LEDED」(前編)

「ブートの話題はしたくない」などと言いながら、これだけYou Tubeにもアップされる時代になったし禁を解いたので、ツェッペリンについて書いてみます。

Snowblind

「UNLEDED」はジミー・ペイジとロバート・プラントが1994年に発表したアルバムだが、このタイトルはダブルミーニングになっている。

時はアンプラグド・ブームで猫も杓子もMTVアンプラグドに出演し、大御所はボブ・ディランやストーンズまでもアンプラグドCDを発表し、ついにツェッペリンまでもがこれに乗っかったのだけれど、アルバム・タイトルは「アンプラグド」、ではなくて、「アンレッデド」としたわけである。
 
「2人でやるけど、決してツェッペリンじゃないよ」という意味と、英語圏のガソリン・スタンドで見かける「アンレッデド(無鉛)」というすでにある名称がひっかけてあり、あの2人にしてはなかなかやるな、と思った。無鉛なら環境にやさしいアンプラグドな感じもある。
 
せっかくカヴァーデイルとのコラボ企画をスタートさせたものの、一方でこのツェッペリン・アンプラグド企画が持ち上がっており、日本公演は完売して追加も出たけど、西海岸は売れ行き悪いって言ってたし、ロバートはロバートで、うーん、どうすっかなあ、今さら高い声も出ないしなあ、アコースティックな曲と、今後のキャリアに繋がるような制作だったらやるよ、というところだったのだろうか。

過去2回の再結成も酷評されたし、ここは2人だけでやれば身軽だし、失敗してもツェッペリンの評価が下ることもなかろうということだったのかな、と今も思っている。

閑話休題、同時期、ロン・ウッドがロッド・スチュアートのアンプラグド・アルバムに引っ掛けて、「プラグド(・アンド・スタンディング)」という何のひねりもないアルバムを発表して彼らしいなあ、と思ったのだが、当時、私は個人的に身辺整理をしており、過去数年間のツェッペリンのブート収集を総括したいなあと思っていた。題して「LEDED」。

そもそも収集のキッカケも、デイヴ・ルイス著「永遠の詩」第4章に書かれていた「架空のライブ・アルバム」を追体験したいなあ、とぼんやり思ったことであった。

以下、曲目。

①THE TRAIN KEPT A ROLLIN’ (69/7/6,NEWPORT)
②I CAN’T QUIT YOU (69/7/6,NEWPORT)
③HOW MANY MORE TIMES (69/5/19,BOSTON TEA PARTY)
④COMMUNICATION BREAKEDOWN (70/1/9,RAH)
⑤WE’RE GONNA GROOVE (70/2/25,HELSINKI)
⑥BRING IT ON HOME (70/9/4,LA FORUM)
⑦CELEBRATION DAY (71/9/9,HAMPTON)
⑧OVER THE HILLS AND FAR AWAY (72/10/9,OSAKA)
⑨SINCE I’VE BEEN LOVING YOU (72/10/9,OSAKA)
⑩THE SONG REMAINS THE SAME (73/3/24,OFFENBURG)
⑪ROCK AND ROLL(FRAGMENT) (75/2/12,MSG)
⑫HEARTBREAKER (73/3/24,OFFENBURG)
⑬NO QUARTER (77/4/28,CLEVELAND)
⑭ACHILLES LAST STAND (77/6/21,LA FORUM)
⑮STAIRWAY TO HEAVEN (75/5/18,EARL’S COURT)
⑯HEARTBREAKER-WHOLE LOTTA LOVE (73/7/28,MSG)
⑰-WHOLE LOTTA LOVE (73/3/21,HAMBURG)
⑱-WHOLE LOTTA LOVE (73/7/28,MSG)
⑲THE SONG REMAINS THE SAME (77/6/21,LA FORUM)
⑳HEARTBREAKER (80/6/21,ROTTERDAM)
たぶん、96年頃にリストアップした。

あれから20年以上経過し、その間新たな音源発掘もあったが、今聞いてもこのリストアップが変更になる可能性はあまり考えられない。
よく出来ているなあと自画自賛する。

まあ、個人の趣味なんでね。どうしてもギターを聞いてしまい、プラントの歌がどう聞こえるか、なんていうのはほとんど加味されていない。
残る3人のグルーヴ感が決め手で選んだのだけれど、ブートのローファイな感じが加点したものもある。

ハートブレーカー3曲はやり過ぎだろう。でも75年以降のグッド・ギグでは必ずアンコールにこの曲をやっている。


全20曲のうち、このあとオフィシャル化されたものもある。ロイヤル・アルバート・ホールのコミュニケーション・ブレイクダウンと、MSGのハートブレーカーである(エディの永遠の詩も、オフィシャル化されたことになるのか?)。

①この曲のベストはフィルモア・ウェストだとされていたが、いまひとつピンと来なかった。それまで80年バージョンしか聴いたことがなかったのもあったと思う。しかしこのニュー・ジャズ・フェスティバルの音源は、イントロのマイクトラブルの音から、ドッタンバッタンした叩き出しから、聞こえにくいロバートのフェイク・ヴォーカルから、今もってワクワクがとまらない。エディのこの曲盤である。
 
なんとなく、アマバンっぽい感じもたぶん、私をくすぐるのだろう。
音源は2種類出ているようで両方所有しているが、タランチュラよりブラックスワン盤が断然いい。

②で、引き続き。これは切れない。
 
③このボストン・ティー・パーティーは定番で、どの演奏もこなれているが、特にこの曲はカッチリやっている。ジミーもミスがなく、縦横無尽に指が届いている。69年の演奏のいいとこどり、っていう感じ。メンバー紹介もいい。

④解説不要。①の日のバージョンでも良かったが、ブラックスワンはフェイドアウトだったので泣く泣くこの日。

⑤ここで仕切りなおし。この曲をオープニングに使った短い期間のうち、音は悪く、ロバートの歌なんかほとんど聞こえないが、RAHと異なる魅力がこの演奏にはある。
 
当時数名の友人にこのリストをダビングして配ったが、おそらくこのバージョンは不評だったと思う。でも好き。

⑥言わずとしれたブルーベリー・ヒル。ブートとしては昔から入手しやすかったが、同じく入手しやすかったBBCと比べると、圧倒的にこっちのほうがスリリングだった。
 
音源が違うからといって、同じ日には手を出さない私としては珍しく、①に加えてこれは複数所有している。
どの曲を選ぶかなかなか難しいが、この日の好調さがはっきり出ているこの曲のメリハリはなかなかいい。

⑦なぜか71年の来日からは1曲も選んでいない。伝説の929もいいのだけれど、71年の9月の演奏はどの公演もなぜか、ボンゾのスネアがリムショットみたいな音に聞こえる。スネアだけじゃなくて、全体的に前に出ている感じもする。いや、いいんだけど。演奏もタイトだし。
 
で、ハンプトンからこの曲。929のバージョンと甲乙つけ難かったけど、荒っぽいながら4人ともノッているのが伝わってくるハンプトンをピックアップ。

⑧ツェッペリンのブートを初めて聴いたのは高1で、一個上の滝田先輩に借りた1枚ものの「A Cellarful Of Noise」だったと思う。
ピッチの低い929で、いきなり1曲目がタンジェリンという、どこが名演なのかと思うようなレコードだった。
 
その後、2回目の来日公演が聞いてみたくなり、「My Brain Hurts」を買ってみた。
ピッチも合っている。なんか急に映画みたいな演奏になっている。このアルバムの1曲目がこの曲だけど、LAよりも抑え目にはじまるものの、ジミーのギターの破壊力抜群。フェスティバルホールのエコーも効いていて、ソロ最後の展開ではミュートしたりしている。休み明け絶好調な感じが出ている。
 
この曲はあんまり言及されることはないが、発表前からネブワースまで演奏されており、非常にZEPらしさが出てて、ライブでやればやるほど完成していった曲だと思う。75年のダラスのバージョンもいい。

⑨もこのライブ。映画でビックリしたが、私はあまり好きではない(ロバートの好きな)「ミスティ・マウンテン・ホップ」から突然この曲になだれ込む展開はこの来日から。
 
どうも初期に聞いた音源には思い入れが強すぎるようだ。これもフェスのエコーが効いている。ジミー絶好調。弾き過ぎぐらい。

⑩73オッフェンブルグ。73年のヨーロッパはどれもテンションが高いが、どれか一つ、と言われたら全編オーディエンスでもオッフェンブルグを上げる。たぶん、トータルでも1位か2位にはなる。
エディ並みのドラムだが、エディと違うのはジミーも絶好調だということ。

以下、長くなったので後編に続く。

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2009年9月12日 (土)

夏の終わりとイン・スルー・ジ・アウトドア

世間はリマスターで賑やかで、当サイトもビートルズ・サイトとしては何か盛り上げないといけないのかもしれないが、新作でもないし、音をイジリ倒しても新しい解釈が生まれる訳でもないので、今回はあえて別の30周年を。

高校生だった僕は、夏休み中の部室に顔を出した後、駅前の寂れたレコード屋に行った。わざわざそこに行ったのは、予約もしていないのにあわよくば予約特典の便箋が貰えるかも、と踏んだからだった。

案の定、「あの、特典の便箋は…」と言うと、おっちゃんは「えーと、はいはい」と言って特典をくれたのだった。
私のために、特典が受けられなかった予約者がいたかもしれない。

バスに乗って、部屋の雨戸を締め切り、レコードに針を落としてボリュームをいつもより大きく上げた。
約3年半ぶりで、発売まで放送も解禁されなかったその“音″は、まるで映画の“幻惑されて″の弓セクションのような音からフェイド・インしてきた。

ツェッペリンの最期のアルバム、“イン・スルー・ジ・アウトドア″である。
ツェッペリンのアルバムとしては、前作の“プレゼンス″や“フィジカル・グラフィッティ″と較べると必ずしも評価は高くないが、毎年、夏疲れと一瞬の秋風が吹くこの時期が来ると、あの日を思い出す。

中学からツェッペリンは聞いていたが、レス・ポールを弾き、ブートまで聞くようになってからの私にとって、初めての、そして最後の、彼らの新作だった。

未だに、「スケールの大きな」アルバムだと思う。だからこそ、未だにこの時期が来るとあの夏を想うのだと思う。

“プレゼンス″のような緊張感はない。曲にバリエーションがある、と言っても“フィジカル・グラフィッティ″のようではない。私なんか、“イン・ジ・イブニング″から“サウス・バウンド・サウルス″の流れは4枚目の“ブラック・ドッグ″の流れを連想するが、後者が異なるのは音が抜群にいいことと、それからボーカルとギターが引っ込んだことだ。
このアルバムの評価が今一つなのは、よくジョン・ポール・ジョーンズ主導だから、とか言われるが、直接的には以前のような超人的なハイ・トーン・ボイスに対峙する超絶(?)ギター、ではないところに帰結するのではないだろうか。
それは“プレゼンス″で極めたのかも知れない。…“プレゼンス″より、時間もお金もかかっているのに。

ギターは以前のようにボーカルまたはドラムスまたはベースを追撃したり、あるいは率いたりするのではなく、どちらかと言うとよりアンビエントな役割を果たしている。何となーくロバート・プラントのその後のソロ・アルバムに近いテイストも感じる。

キー・ポイントは、“ウエアリング・ティアリング″のようなもろロック の秀作を収録しなかったことだ。実は79年のネブワースで披露して、併せてリリースも予定していたから、と言われているが、結局アルバムの持つコンセプトにしっくりこなかったのだろう。“サウス・バウンド・サウルス″を優先したのは、プラントだろう。

このアルバムの後ペイジは、「ジョン(ボーナム)とは、次はもっとロック色の強いものをやろうと話していた」と言っている。プラントやジョーンズとではないところがミソだ。

相次ぐ不幸に見舞われたボーカルの意向を尊重したアルバムだったが、翌80年にバンド・メンバーは髪を短くして、初心に帰って“トレイン・ケプト・ア・ローリン″でショウを始めている。その矢先、ジョン・ボーナムの死でバンドは終わった。

ツェッペリンの12年は、ちょうど私の6・3・3に当たる。ひょっとしたら、このアルバムへの思い入れは、私のそんなノスタルジーなのかもしれない。

さらに11年後、ネブワースで因縁の曲を演奏するPP。何思う。

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2008年10月28日 (火)

SICK AGAIN

ツェッペリンに特に造詣が深い、という訳でもないが、今から10年ほど前に、もし自分がHPを立ち上げるとしたら、ツェッペリンについて何か書きたいと漠然と思っていた。
ツェッペリンのブートに2年ほどどっぷりと浸かり、枚数も200枚を有に越えた頃だった。

しかしその後、リンクを貼らせていただいているmrcmsさんの“BURN THAT CANDLE″を拝見した時、あ、やられた、と思った。以降今日に至るまで、私の知る限り、あのサイトを凌駕するZEPサイトは存在しない。枚数で凌駕しているサイトはいくらでもある(実際、少くとも6年は更新されていない)が、要はその分析の視点なのだ。

サイトのイントロダクションとして立ち上げ理由を書いておられるが、問題意識として「はたしてこれは世間一般で言われているような名演(或いは稚拙な演奏)なのだろうか」「数々の疑問点を、自分自身の耳で確認し、払拭したかった」「Zep等身大の姿を知りたいのだ。そして Zepをまったく知らないロックファンでも判るよう、聴きやすいよう、正確に、正直に伝えたいだけなのだ。そういった、あらゆる面を敢えて指摘することで、彼らの体調、心境、心意気、熱意とかいったものを理解するための参考にしてほしい、と思っている」と書いておられる。

また、「個人的に重視していること」と断ったうえで、「それはジミーペイジの頭の中で鳴っている音だ。実際にプレイとして聴かれる音ではなく、本当は何を弾こうとしているのか。これが私にとっては重要ポイントなのだ。例えば「1975年アールズコート(24日)」でのライブと「1980年ブリュッセル」でのライブ。どちらがテクニック的に上か?と問われれば当然『前者』と答えるだろう。だが双方がまったく同等のレヴェル(例えば71年のテクニックくらい)でプレイされたと仮定するならば、いったいどちらのフレーズの方が魅力的であろうか?その辺に大いに興味があるのである。ジミーは一般的には、晩年枯れて行ったと言われているが、少なくとも彼の脳内で鳴っている音に関しては、そうとも言い切れないと思っている」
ズバリである。素晴らしい。

一時期竹本潔史氏の“BOOT POISONING″を定期購読していたが、音質やピッチ、カット箇所の分析などは他に類を見ないものではあったが、私が知りたかったこと、他人に伝えたかったことのすべてが“BURN THAT CANDLE″にあった。
ZEPサイトのみならず、すべてのサイトのうちで、いつ削除されても困らないよう、私がファイル保存しているのはあのサイトだけだ。

私からすれば、レッド・ツェッペリンのライブは73年のMSG、あるいは75年のアールズ・コートである意味一旦終わっており、77年以降はリバイバル・コンサートだと思っている。じゃあ、「エディ」(専門用語ですが)は どうなんだ、と一喝される方もいらっしゃるかも知れないが、私の回答は“BURN THAT CANDLE″に書いてある。

いわんや、昨年O2で行われた再結成ライブをや、である。ツェッペリンの魅力とは何か。人により異なるとは言え、各人が卓越した技量を持ち、さらにそれらが融合した時に発する他に類を見ないダイナミズムと繊細さの両立。
辛うじてスタジオ・アルバムではそのクオリティを保ったが、77年以降のライブは総じて酷い。声が出なくなったにも関わらず声が高かった頃の歌を歌い続けなければならないボーカル、創造性が枯れたか、あるいは上記のとおり表現すべき指が衰えてしまったギター、ムラッ気の多いドラム、実力を発揮するタイミングがなくなってしまったベース、ピアノ。取り返そうとするも冗長になり、聞いているオーディエンスが辛くなるような演奏、というのはどうなんだろう(総てがそうであるわけではないが)。

そういった反省からか、80年のライブはグッとタイトになり、インプロの長い曲は外されている。ロッテルダムなんか好きな公演だが、インプロの出来ないツェッペリン、と言うのも魅力半減だ。つまり、ボーナムが死ぬ前に、元々の魅力は無くなっていたのである。
口説いが、それでもアウトドアやコーダは十分に魅力的である。

さてさて、今回のネタは昨年のO2コンサートで気を良くしたメンバーが、大規模ツアーに打って出ようとしているといったニュースがいろいろ形を変えて報道されていることについて、何か書きたいと思ったのだが、書く順序が逆になってしまった。

頼む。やめてくれ。伝説を書き換えないでくれ、ジミー。もう「天国への階段」は弾かなくていいから、スタジオでシコシコとソロ・アルバム作ってくれ。枯れたギターマンになってくれ。カバペジ、ペジプラ、ブラクロとZEPは十分聞かせてもらった。もうわかった。以上。

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