ギタリスト

2010年6月 9日 (水)

“HAVE YOU EVER ?″

現在またまたスティーヴ・ウィンウッドとのヨーロッパ・ツアーに出たクラプトンだが、それにしてもここ5年ぐらいクラプトンのパフォーマンは垂涎ものである。2005年クリーム再結成、2006年デレク・トラックスらと組んだ実質デレク&ドミノスツアー、2007年からジェフ・ベックやスティーヴ・ウィンウッドとのジョイント、その選曲。

エリック・クラプトンのライブは90年、94年、97年の3回見に行った。
90年は初めてだったこともあって、気分が盛り上がって何が何だかわからなかった、と言いたいところだがアンコールのレイラの前にトイレに立ったりもしていた。
ベルサーチのスーツを着てギターを弾くライブは、今思えば少しショウアップし過ぎの感はあったが、後で音源を聞いても、その現場で体験した感覚に相違なく“エッジの効いた″音だった。

94年、これは“フロム・ザ・クレイドル″リリース直前のライブで、頭からアコースティックで9曲も知らないブルースが続き、正直会場は“え~っ″状態だった。
その後やっと“ホワイト・ルーム″をやり、定番ナンバーが続くのだが、いかにも“俺がやりたいのはこの9曲。あとはサービスだ″と言わんばかりで出来もよくなかった。少なくとも後半、ここまで焦らされた会場を納得させるものではなく、“本当にクラプトンのライブ?″と思うような結構現実感の乏しいライブだった。
しかし後から音源を聞くと、“サーカス(レフト・タウン)″を披露したりヘンドリックスのカバー曲をやったりと選曲も面白く、プレイも前半9曲については悪くなかったのだ。

で97年だが、ジョー・サンプル、スティーブ・ガットを率いたライブは、凄かった。
基本はピルグリムのブロモーション・ツアーだが、特に“I SHOT THE SHERIFF″と“HAVE YOU EVER LOVED A WOMAN?″にはやられた。これがまさに自分が聴きたかったクラプトンだった。
これはその場にいてもはっきりそう感じたし、今その日の音源を聞いてもそう感じる。

ギタリストは、時折“何かが憑依する″ことがあると思うが、クラプトンぐらいになると、自ら憑依しやすい状況を作り出して演奏に臨んでいる。しかし、力んでもまったく“降りて″こないこともあれば、“誰か指を止めてくれ!″というプレイもある。私が知っている限り、デレク・アンド・ドミノスのフィルモア・イースト初日(“LET IT RAIN″)と、アームズ・コンサート(“HAVE YOU EVER LOVED A WOMAN?″)は、聴きながら何か他のことをする、などといったことが出来ないようなスリリングなプレイだ。

あまりいい音質のがありませんでしたが、これです。

ところで97年のライブを見た後、ああ、これでクラプトンのライブには行かないことにしよう、そう思った。
なぜなら、たぶん次に私が行くライブは、この日私が体験したライブよりもたぶん“落ちる″からだ。
本当に最近の取り組みは食指が動き回るのだが、音源を聴くと、残念ながらギタリストとしてのピークの音ではないように感じてしまう。
ディランみたいにZEPPでやってくれないだろうか。そしたら4回目の体験に足を運ぶことになると思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)