2019年10月21日(月)
振り返って。
〇体力
出発時に、まず心配したのは体力。
たぶん誰しも思うことだろう。
これが意外に大丈夫。歩くだけだからね。
確かに箱根や日坂はきつかったが、それ以外は知れている。
2~3時間置きに休憩していれば歩き続けることは全然大丈夫。
一日何キロ歩けるか。計画を立てるのは難しい。
今日はどこまで行けるのか。どこに泊まるのか。
歩き始めは悩んだけれど、だんだんうまくなった。
体調とも相談だけれど、だいたい日の出から日没までなら30キロは歩ける。
最後のほうは、ガイド本1ページ30分、で測っていた。
宿泊は快活クラブ(ネカフェ最大手)一択だった。
初日の東戸塚でノックアウトされたのと、沼津でやむなく泊まった別系列がひどかった。
耳栓さえあればこんなに快活なところはない。
ビジネスなんか馬鹿らしい。
しかし、予約はできないので、2度ほど満室をくらっている。
すぐに空いたので事なきを得たが、あのまま沼津の夜に放り出されたらどうしたろう。
静岡から島津まで快活がないので、藤枝あたりでビジネスを探したものの空きはなかった。
〇靴
2日目からマメができたが、箱根を降りてからはひどかった。
水を抜いても、結局穴は塞がってまた水ぶくれができるのだから、4日目ぐらいからはあきらめた。
マメだけではなくて、多くの爪が内出血した。
左足は突出している第二趾が内出血、右足は第二趾は大丈夫なのに、第一趾と第四趾とか、わけがわからない。
日増しに朝は靴に足を入れるのがたいへんになり、痛みもひどいが、それでも一時間ぐらい歩くとたぶんマメに体重がかかって広がるからか痛みがマシになったが、再開時には絶対靴対策を決心した。
いろいろ調べたところ、東海道を歩かれた「さいちー」さん(ブログ再開してください)は、スポーツ用品店でちゃんと足を測って靴を買ったらマメができなった、とのことなので私も倣った。
春はネットで買った横幅D、サイズ大きめのスニーカーだった。
足を測ったところ、自分の足でDという選択は間違いではなかったらしい。
ただし、サイズがジャストより1センチ大きいので前後に動いたはず、とのこと。
結局もう少し軽く、5ミリ小さいランニングシューズにしたが、内出血は今回もしたし、ジャストサイズだったらもっとひどくなったか、あるいは軽減されたかはわからない。
・ ガーニーグーとインソール
ガーニーグーはグレートトラバースの田中陽希さんがマメ対策に使っているとのことで試しに購入。
トレランしてる人には常識かもしれないが、臭うけど、気持ちいいよー。
足が靴の中で滑る感じ。
でも歩きにくいわけではない。
それからアマゾンで1,000円のインソールを買った。
結論から言うと、靴は買い替えずインソールだけでも良かったかもしれない。
それも足を測ったからわかったことだけどね。
今は新しい靴のソールを買ったものと取り替え、新しい靴のソールを大き目の古い靴のソールの上にさらに入れて詰め、どちらも履き心地よくなった。
これも店員さんに教えてもらった。
結果、春とは比べ物にならないほど足のトラブルはなくなった。
左足など無傷と言ってもいいぐらい。
さらにガーニーグーをケチらず使えば完全に防御できたかも。
〇暑さ対策
街道では、まったく日光を遮るものがない幅広の道を何キロも歩く箇所ある。
日坂では深刻なダメージを受けたし、秋の部は(秋の部と言いながら)ほぼ真夏だっ
た。
気温よりも日差し。
傘をさす、帽子、笠を被る。これが基本。
春に気付いたが、気化熱を利用するのがもっとも有効。
ところどころの休憩場所では水を被ったし、秋の部ではペットボトルに水を入れ、30分置きに腕やら首筋を濡らした。
「歩かない」という選択も有効。
〇荷物
長時間歩くので、軽いに越したことはない。
幸い東海道は都市を歩くので、店もある。
なんでも買える。
携帯バッテリーは重いだけ。
登山の場合は必要だけど、東海道は不要。
〇服装
モンベルのウィンドブレーカー最強。
軽く、くるくると巻けば小さくなるし、暖かくて通気性もある。
秋は、途中でGパンと薬セットを実家に送り返した。
カッパは後処理が面倒だし、どのみち靴は濡れてしまう。
雨の日は歩かないのが正解。
秋には持っていかず、折り畳み傘で過ごした。
〇トイレ
これが一番の問題かもしれない。
暑いときは水分補給が必要だし、補給すると排出する。
今は公衆トイレが激減しているので、「ちゃんと歩ける」の地図表記はあてにならない。
原則コンビニだけれど、コンビニが適当な間隔であるわけでもなく、いつもトイレが空いているとは限らない。
都市部は開放されている商業施設や公共施設がある。
バイパスはGSを使わせてもらう。
山の中は自然還元できる。
困るのは住宅街や集落が続いているところで、たぶんそういうところの距離が一番長い。
鉄道と並走していれば必ず駅を借りた。
「そういうところの距離が一番長い」ということを意識してトイレ休憩を設定するだけでも、だいぶ違うかもしれない。
〇感想
「思っていたよりも(昔の東海道が)ずっと残っていた」と最初は思っていたが、そうではなくて、今も江戸時代を踏襲した集落の連続が残っている、って言うほうが正確だろう。
今から5年ほど前に京都から大阪まで歩いたが、その景色が12時間続き、さらにそういう日が2週間続いた、という感じ。
大阪の枚方あたりの風景は、神奈川でも、静岡でも同じ。
東海道を再認識するつもりが、むしろ街道は均一化していることに気付いたのは静岡中盤あたりだった。
東京、神奈川、静岡、愛知、三重、滋賀そして京都と7都府県を跨ぎ、それぞれの趣きもあったが、東海道とは静岡県のことである。16日間のうち、5日間を体験すればよい。
十返舎一九の描いた世界を体験してみたい、歌川広重の描いた風景を見てみたいと思って実現した旅だったけれど、前者は難しかった。
7日目ぐらいからは歩くことが自己目的になったと感じた。
秋は、それでもいいと思った。
何を見つけたかは、その人の目的による。
私は、歩き終えて自分がまだ歩けるという自信と、広重の絵がいかに素晴らしいかということを再認識した。
後悔、ということでもないけれど、八丁畷から神奈川新町、藤沢本町から平塚、宮から桑名までは歩いていない。
今後歩くつもりもない。
藤沢、金谷、舞阪の写真は撮影方向を東西逆にしてしまっている。
できれば取り直したい。
江尻はまったく撮影場所のあてどころがないが、高台からなら撮れそうな気もしている。
旅は、3回楽しみがある。
一つ目は、計画の楽しみ。
二つ目は、実際に旅に出ている楽しみ。
三つ目は、旅を終えてから追想する楽しみ。
一つ目に50年をかけて、二つ目に16日をかけ、三つ目が一か月の今のところ、まだ「また旅に出たい」という気持ちしかない。
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