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2018年5月 6日 (日)

「LEDED」(前編)

「ブートの話題はしたくない」などと言いながら、これだけYou Tubeにもアップされる時代になったし禁を解いたので、ツェッペリンについて書いてみます。

Snowblind

「UNLEDED」はジミー・ペイジとロバート・プラントが1994年に発表したアルバムだが、このタイトルはダブルミーニングになっている。

時はアンプラグド・ブームで猫も杓子もMTVアンプラグドに出演し、大御所はボブ・ディランやストーンズまでもアンプラグドCDを発表し、ついにツェッペリンまでもがこれに乗っかったのだけれど、アルバム・タイトルは「アンプラグド」、ではなくて、「アンレッデド」としたわけである。
 
「2人でやるけど、決してツェッペリンじゃないよ」という意味と、英語圏のガソリン・スタンドで見かける「アンレッデド(無鉛)」というすでにある名称がひっかけてあり、あの2人にしてはなかなかやるな、と思った。無鉛なら環境にやさしいアンプラグドな感じもある。
 
せっかくカヴァーデイルとのコラボ企画をスタートさせたものの、一方でこのツェッペリン・アンプラグド企画が持ち上がっており、日本公演は完売して追加も出たけど、西海岸は売れ行き悪いって言ってたし、ロバートはロバートで、うーん、どうすっかなあ、今さら高い声も出ないしなあ、アコースティックな曲と、今後のキャリアに繋がるような制作だったらやるよ、というところだったのだろうか。

過去2回の再結成も酷評されたし、ここは2人だけでやれば身軽だし、失敗してもツェッペリンの評価が下ることもなかろうということだったのかな、と今も思っている。

閑話休題、同時期、ロン・ウッドがロッド・スチュアートのアンプラグド・アルバムに引っ掛けて、「プラグド(・アンド・スタンディング)」という何のひねりもないアルバムを発表して彼らしいなあ、と思ったのだが、当時、私は個人的に身辺整理をしており、過去数年間のツェッペリンのブート収集を総括したいなあと思っていた。題して「LEDED」。

そもそも収集のキッカケも、デイヴ・ルイス著「永遠の詩」第4章に書かれていた「架空のライブ・アルバム」を追体験したいなあ、とぼんやり思ったことであった。

以下、曲目。

①THE TRAIN KEPT A ROLLIN’ (69/7/6,NEWPORT)
②I CAN’T QUIT YOU (69/7/6,NEWPORT)
③HOW MANY MORE TIMES (69/5/19,BOSTON TEA PARTY)
④COMMUNICATION BREAKEDOWN (70/1/9,RAH)
⑤WE’RE GONNA GROOVE (70/2/25,HELSINKI)
⑥BRING IT ON HOME (70/9/4,LA FORUM)
⑦CELEBRATION DAY (71/9/9,HAMPTON)
⑧OVER THE HILLS AND FAR AWAY (72/10/9,OSAKA)
⑨SINCE I’VE BEEN LOVING YOU (72/10/9,OSAKA)
⑩THE SONG REMAINS THE SAME (73/3/24,OFFENBURG)
⑪ROCK AND ROLL(FRAGMENT) (75/2/12,MSG)
⑫HEARTBREAKER (73/3/24,OFFENBURG)
⑬NO QUARTER (77/4/28,CLEVELAND)
⑭ACHILLES LAST STAND (77/6/21,LA FORUM)
⑮STAIRWAY TO HEAVEN (75/5/18,EARL’S COURT)
⑯HEARTBREAKER-WHOLE LOTTA LOVE (73/7/28,MSG)
⑰-WHOLE LOTTA LOVE (73/3/21,HAMBURG)
⑱-WHOLE LOTTA LOVE (73/7/28,MSG)
⑲THE SONG REMAINS THE SAME (77/6/21,LA FORUM)
⑳HEARTBREAKER (80/6/21,ROTTERDAM)
たぶん、96年頃にリストアップした。

あれから20年以上経過し、その間新たな音源発掘もあったが、今聞いてもこのリストアップが変更になる可能性はあまり考えられない。
よく出来ているなあと自画自賛する。

まあ、個人の趣味なんでね。どうしてもギターを聞いてしまい、プラントの歌がどう聞こえるか、なんていうのはほとんど加味されていない。
残る3人のグルーヴ感が決め手で選んだのだけれど、ブートのローファイな感じが加点したものもある。

ハートブレーカー3曲はやり過ぎだろう。でも75年以降のグッド・ギグでは必ずアンコールにこの曲をやっている。


全20曲のうち、このあとオフィシャル化されたものもある。ロイヤル・アルバート・ホールのコミュニケーション・ブレイクダウンと、MSGのハートブレーカーである(エディの永遠の詩も、オフィシャル化されたことになるのか?)。

①この曲のベストはフィルモア・ウェストだとされていたが、いまひとつピンと来なかった。それまで80年バージョンしか聴いたことがなかったのもあったと思う。しかしこのニュー・ジャズ・フェスティバルの音源は、イントロのマイクトラブルの音から、ドッタンバッタンした叩き出しから、聞こえにくいロバートのフェイク・ヴォーカルから、今もってワクワクがとまらない。エディのこの曲盤である。
 
なんとなく、アマバンっぽい感じもたぶん、私をくすぐるのだろう。
音源は2種類出ているようで両方所有しているが、タランチュラよりブラックスワン盤が断然いい。

②で、引き続き。これは切れない。
 
③このボストン・ティー・パーティーは定番で、どの演奏もこなれているが、特にこの曲はカッチリやっている。ジミーもミスがなく、縦横無尽に指が届いている。69年の演奏のいいとこどり、っていう感じ。メンバー紹介もいい。

④解説不要。①の日のバージョンでも良かったが、ブラックスワンはフェイドアウトだったので泣く泣くこの日。

⑤ここで仕切りなおし。この曲をオープニングに使った短い期間のうち、音は悪く、ロバートの歌なんかほとんど聞こえないが、RAHと異なる魅力がこの演奏にはある。
 
当時数名の友人にこのリストをダビングして配ったが、おそらくこのバージョンは不評だったと思う。でも好き。

⑥言わずとしれたブルーベリー・ヒル。ブートとしては昔から入手しやすかったが、同じく入手しやすかったBBCと比べると、圧倒的にこっちのほうがスリリングだった。
 
音源が違うからといって、同じ日には手を出さない私としては珍しく、①に加えてこれは複数所有している。
どの曲を選ぶかなかなか難しいが、この日の好調さがはっきり出ているこの曲のメリハリはなかなかいい。

⑦なぜか71年の来日からは1曲も選んでいない。伝説の929もいいのだけれど、71年の9月の演奏はどの公演もなぜか、ボンゾのスネアがリムショットみたいな音に聞こえる。スネアだけじゃなくて、全体的に前に出ている感じもする。いや、いいんだけど。演奏もタイトだし。
 
で、ハンプトンからこの曲。929のバージョンと甲乙つけ難かったけど、荒っぽいながら4人ともノッているのが伝わってくるハンプトンをピックアップ。

⑧ツェッペリンのブートを初めて聴いたのは高1で、一個上の滝田先輩に借りた1枚ものの「A Cellarful Of Noise」だったと思う。
ピッチの低い929で、いきなり1曲目がタンジェリンという、どこが名演なのかと思うようなレコードだった。
 
その後、2回目の来日公演が聞いてみたくなり、「My Brain Hurts」を買ってみた。
ピッチも合っている。なんか急に映画みたいな演奏になっている。このアルバムの1曲目がこの曲だけど、LAよりも抑え目にはじまるものの、ジミーのギターの破壊力抜群。フェスティバルホールのエコーも効いていて、ソロ最後の展開ではミュートしたりしている。休み明け絶好調な感じが出ている。
 
この曲はあんまり言及されることはないが、発表前からネブワースまで演奏されており、非常にZEPらしさが出てて、ライブでやればやるほど完成していった曲だと思う。75年のダラスのバージョンもいい。

⑨もこのライブ。映画でビックリしたが、私はあまり好きではない(ロバートの好きな)「ミスティ・マウンテン・ホップ」から突然この曲になだれ込む展開はこの来日から。
 
どうも初期に聞いた音源には思い入れが強すぎるようだ。これもフェスのエコーが効いている。ジミー絶好調。弾き過ぎぐらい。

⑩73オッフェンブルグ。73年のヨーロッパはどれもテンションが高いが、どれか一つ、と言われたら全編オーディエンスでもオッフェンブルグを上げる。たぶん、トータルでも1位か2位にはなる。
エディ並みのドラムだが、エディと違うのはジミーも絶好調だということ。

以下、長くなったので後編に続く。

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