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2017年10月

2017年10月28日 (土)

オリジン

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夏に点いてしまった音源熱が止まらなくなってしまった。なんとかUKオリジナル(アビィ・ロードがリリースされた69年の英国初回盤)を所有したい、という物欲に駆られてしまった。

音なんか聴ければそれでいい。バカ高いミントなんかはいらない。50年近く前のブツなので、音が悪いのは仕方ないが、針飛びだけは困る。1stプレスを聴きたいので、スタンパーはYEX749-2/1で。

ジャケットは2の次で、ダーク、レフトのアップルに拘らないし、もちろんHer Majestyの表記の有無にも拘らないが、コーティング・ジャケットは所有したい。

2か月、Discogやらレコード店やら、フェアやらヤフオクやらいろいろ探し回って、やっと良心的なのを見つけた。価格も昔ブートを買い漁っていたころを思えば、高くない。

実は、それにもかかわらず、ずいぶん逡巡した。ブツを見つけてから3週間かかった。僕は、コレクターではない。こういう、価格にプレミアムが乗る商品には基本的に手を出さない。
音は24ビットがいいに決まっている。どのみちウチのアナログ・システムなんかに再生能力はない。でも買おう(爆)。

郵便を開封する。どきどきする。ああ、ここまで43年かかったよ。ずっと聴いてきてよかった。やっとレコーディングほやほやの盤の音が聴けるよ。

出てきたジャケットは僕が知っている国内盤よりも、ずっと赤味があり、空と裏ジャケのワンピースは青い(国内盤は白っぽい)。ビニル・コーティングは光沢があっていい。

驚いたのは、ジャケットと、インナーと、盤(ポリ入り)を別々にして封入してあったこと。業者さんは別々に保管していて、店頭でお客さんが試聴できるようにしていたのだろうか。それとも、何かの事故防止だろうか。

ジャケットを少し広げて、中を嗅いでみる。うん、輸入盤の匂い。
さて、盤を見ると、おお!ダークだ。趣あるなあ。リンゴが小さく、文字が細い。盤の状態はそれなり。

A面に針を落とす。すぐにCome Togetherが始まる。うわっ、何だこれ?
このあいだ、さんざんいろんな音源利聴いたのに、この感覚はなに?
非常に直感的な言い方をすれば、「懐かしい」。

きっとそれは、UKオリジナルだからとか言う前に、プチプチいいながらCome Togetherを聴くこと自体、38年ぶりだからだろう(笑)。でも迫力はある。なかなかに興奮する。
ちなみにB面もそうだったけど、ガイドの溝がほとんどなくて、針を下ろすと、上記のとおりすぐに曲が始まります。

しかし、あとでもう一度79年盤(EAS)を聴きくらべると、これもいいのだ。前回79年盤に感動した話を報告したが、つまり、オリジナルでもアナログのよさをまたまた感じることになったのだ。ヘッドホンでもう一度聞き比べしようっと。

セパレートはもちろんCDや79年盤には及ばないが、これは盤の状態にもよるのだろう。基本はクリアかつラウド。まあプラシーボ効果もあるのだろう。オリジンを聴いている、という自分に酔ってしまう。笑ってください。安い買い物だった。

今日から、僕にとってこのレコードがオリジンになる。何を聴くにも、これがオリジンになる、そう思いました。

最後に余談を一つ。なぜかAB面とも内周に近づくほど、音が歪んでしまう。劣化する。
「それはあなた、当たり前でしょう。レコードは内周差と外周差があって、カッティングが…」という話はわかっています。でもチリつきが多いのはなぜ?

それは、今から48年前の持ち主が、A面の斬新なエンディングと、B面のシークレットトラックに驚いて、何度も何度も針を落としたから、というファンタジーにしてしまいましょう(笑)。


2回、3回と聴くうちに、プチプチとかノイズがまったく気にならなくなった。いい盤にめぐり合えた。この盤を所有してこられた方、本当にありがとう。2017102816440000

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