メロメロ
忌野清志郎がやっていた音楽について、私は正直よくわからなかったし、これからもわからないと思う。
今から30年近く前、バンドの先輩と遅くまで飲んでいて、先輩が「そんなことはRCのライブを見て言っているのか、どうなんだ」と凄まれたことがあった。テレビでは見たことがあったが、そんなに凄いか?と内心思っていた。
しばらくして、初めて彼がテレホン・ショッキングに出たのを偶然見た。それはとても衝撃的だった。
タモリの紹介に続いて、彼はアコギを弾き、歌いながら登場した。アルタの観覧客をガンガン煽りながら、タモリの制止も意に介さず、ほとんどトークもなく友達紹介となった。
メッチャメチャ格好良かった。初めて映画館で動くジミー・ペイジを見た時のようだった。
この番組にはすでに幾多のミュージシャンが出演していたが、完全に“オン″の状態で出て帰ったのは彼が初めてではなかっただろうか。陳腐な言い方になるかもしれないが、それが彼のメッセージの全てだったような気がする。
97年、ファンの間では迷いのあった時期とされているようだが、CMソングで「メロメロ」が流れた。私自身が冒頭「よくわからない」としたのは、一つには彼の特異な発声もあるのだけれど、「メロメロ」のようなシンプルでヘヴィなロックにのると、今更ながら凄いヴォーカルだと聞き惚れた。
今回、YOU TUBEで初めて彼の「君が代」を聞いたが、これも凄い。ロックやフォーク畑の人が「君が代」を演る場合には、演ること自体に意義があることが多いように思うが、彼のは十分に発表するに足るものに思うし、何度も聞きたい。
ジミヘンが国歌を弾く以上、「君が代」にチャレンジする人は多く、私もチャレンジしたことがある。あの平板な音階、拍子を昇華するのは本当に難しい。
もっとも、彼のような何十年もキャリアのあるプロならたやすいかもしれないが、あのパンク・ヴォーカルは上手い。彼のパンクに対する造詣を感じさせるものだが、あれを発売禁止にしたのは惜しい。「あまりに素晴らし過ぎたので発売を見送ります」という東芝EMI(当時)のコメントは顰蹙ものだったが、確かに素晴らしいことには間違いなかった。
何かのフェスで、当時の小泉首相がXJAPANのファンだと公言したことを捉え、「小泉総理、アンタ趣味悪いゼ!」と言っていたと聞いたが、爆笑してしまった。愛しあってるかい?合掌。
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