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2009年4月28日 (火)

スタアの恋 (藤原紀香編)

結婚は、他者との関係の中である役割を与えられる点で、就職の一形態である、と思う。
好きなことを続けていて食えるようになる人もいれば、気がついたら今の職場、という人もいる。転職を繰り返す人もいれば、フリーターもいる。何を指しているかおわかりかと思う。
就職活動略して「就活」に準え、「婚活」という言葉が昨今用いられるが、さもありなん、と思う。

陣内智則と藤原紀香については、なぜか結婚前から離婚する予感があったが、多数の人もそうなのだろう。こんな感じ、IZAMと吉川ひなの以来かもしれない(少し古いかも)。

もう再婚までして子供を設けている人の話を持ち出すのもなんだが、あの時、IZAMはひなのを守ろうとしていた、ように見えた。半ば意地になって。
たいていこういう時、男は守ろうとする。陣内も離婚会見では、藤原紀香をすごく守ろうとしていた。
ただIZAMと違うのは、芸人としてそこに居なければいけないし、これからも居続けなければいけない。そして人前では、「紀香」の話題に触れずにやり過ごすわけにはいかない。

一方紀香も、モデルであり続けなければならない。しかしそれは、「自分らしくあるため」であり、それは陣内のそれとは少し違う。
陣内の度を越した浮気が原因であるかのように報道されているが、藤原紀香のいくつかの発言から私は、そこに何か特別な離婚理由が求められるのではなく、そもそも前提においたもの…藤原紀香が「藤原紀香らしくありながら」結婚生活を続けること…に無理があったのではないか、と思う。

私はサラリーマンであり、会社は私と同じ労働を提供する者なら誰であれ、私のサラリーと同額又はより低額のサラリーを払うだろう。会社は私でなくてもいいのだ。
もし私が職場で「私らしさ」を主張したらどうなるだろう。組織の側からすれば、その主張が組織に有用であるかどうかが重要であり、さもなくば放逐されるだろう。

しかし藤原紀香は違う。「藤原紀香」であるところからギャランティが発生し、後はどんどんオプション料金が増えていく。「自分らしく」あるかどうかはわからないが、世間が持つ「藤原紀香」らしいイメージを保ち、育むことを生業としている。

社会での役割のみならず、一見プライベートな結婚生活においても、「自分らしくあること」など出来ないのではないか、というのが私の仮説だ。たとえば卑近な例で恐縮だが、私の結婚生活には、私でなくても「夫」としてであればたぶん、誰でもいいことがゴロゴロある。ゴミ出しから、妻の親族との付き合いに至るまで、ゴマンとある。このことに私または妻が疑問を持つなら、結婚生活は成り立たない。

ではそういう前提の結婚生活を、「私らしくあるために」離婚したという、藤原紀香は送ることはできなかったのだろうか。いや寧ろ、陣内の交遊関係には「妻として」積極的に務めてきたように伝えられている。
でも紀香は、結婚時に「一緒にお墓に入る」だの「芸人さんの嫁になる」だのといった発言が私の耳には残っていて、どうも彼女は「形」への意識が強かった気がしてならない。

結婚生活においても年数を経ると、いよいよ「私らしさ」を保つことは難しい。○○さんのご主人、○○ちゃんのお父さん、○○さんの次男坊…。例え嫌でも、その役割は引き受けなければならない。なぜなら結婚は社会制度なのだから、嫌なら結婚しなければいいだけなのだ。「新しい結婚の形態」なんて言葉は最近聞かれなくなったが、あるとしたら「しない」ことである。
幻想かもしれないが、その役割を引き受けたうえで、一人では成し得ない「何か」を成し得、分けあえるような気がする。

藤原紀香が欲しかったものは何だったのか。陣内は会見で「今思えば気持ちだけで(先を考えずに)結婚に踏み切ったのかもしれません」とレポーターの残酷な誘導に答えていたが、気持ちだけで結婚に踏み切って何がいけないのか?
「五体不満足」の著者、乙武洋匡が今から七年ぐらい前に結婚した際に披露した奥さんのエピソードが今もって忘れられないのだが、「ギャンブルみたいでわくわくする」と言ったそうである。すごい。これはすごい。

藤原紀香にとって「自分らしくあること」とは、所謂「藤原紀香らしく」あることだったのか、「芸人さんの嫁らしく」あることだったのか、それとももっと別のことだったのか。少なくとも私には、「陣内とともに生きる人らしく」ではなかったように思えてならない。だからこそ、早い時期から不吉な予感を抱いたのかも知れない。

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