アビィ・ロードの夏
今年の夏は一念発起してブログを始めたが、サイトの立ち上げに較べれば本当に楽だ。当時と違うのは、ケータイが使えること。これは大きい。
今年は奇しくも(?)39年前と日付と曜日が同じであった。週の始めにこんなセッション、こんな曲を取り上げたんだという発見もあった。その日のセッション日とブログのアップ日をできるだけ合わせるようにしたが、印象としては、これまでのビートルズのレコーディングがわりと一曲完成するまで延々と時間をかけたのに対し、さっさとベーシックトラックを録るとあとは自分の曲は自分でたっぷりと時間をかけて完成させ、8月はほとんどそれに時間が割かれていたように感じた。
もうここに来て誰も「ライブを映画に撮って…」とか馬鹿なことは言わない。(エベレストに行って…というのはあったが、ここでいつもこういうことを言うメンバーがはっきり分かった。39年前の今頃、小さなクラブ回りをすべきだ、と言ってジョンからバカ扱いされた人だ、と思う。)
そう考えると、ビートルズはおそらく最後のアルバムをレコーディングしているという意識はなく、「新しいレコーディングのやり方」だったんじゃないだろうか。
もちろん、僕らはそれが最後になったことを知っている。
ビートルズのアルバムの中で、唯一の街中でのジャケットだ。全盛期を知る人間としては、こんなふうに4人揃ってロンドンを歩く、なんて69年でも到底無理だったろうと思うし、横断歩道を渡るなんて日常的なことが、かえってとても非現実的に感じる。
スタジオに向かっていく写真ではなく、出ていくものを選んだ、と云われるが、そのことより私は非現実となった日常を取り戻すため、非現実的となった(と感じた)ビートルズから一歩を踏み出した開放感を感じる。66年にライブをやめ、篭ったスタジオのすぐ外で撮ったジャケットは、開放的で、解放的だ。いつまでもあの夏の空は終わらない。
そしてどんなに暑い夏の日も、終わる。リリース日の9月26日には、秋風が吹いている。
9月26日はいつも、“SUN KING″の前の虫の音が聞こえてくる。
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