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2008年7月17日 (木)

OH! DARLING

“Oh,darling , don't let me down”

この曲も、“SOMETHING”ほかと同様、すでに69年の4月にベーシック・トラックが仕上げられていたナンバーである。

この歌詞。私は常々、この曲はポールのジョンに対するメッセージ・ソングではないか、と思っている。この説については誰かが言及したものを読んだことがないので、ぜひ権利登録したいと考えているが、あまりまわりからは相手にされていない(当たり前か)。

oh,darling ,please believe me,I never do you no harm
believe me when I beg you,I never do you no harm
((c)Lennon-Mccartney,以下同じ)

聞けば聞くほど、ジョンに対して唄っているように聞こえる。

(1)テーマの“oh,darling ,”は、“DON'T LET ME DOWN”や“HELP”のような他を圧倒するジョンの“テーマ一発!”パワーソングに対するオマージュ。

(2)“I never do you no harm”は、“HAPPINESS IS A WARM GUN”の“I know,nobody, can do me no harm”に対するアンサー。

oh,darling,,if you leave me,I'll never make it alone
believe me when I tell you,I don't ever leave me alone

(3)涙なくしては聞けないヴァース。この“make it”の itとは、レコードのことかえ?

when you told me,you didn't need me anymore
well you know,I nearly broke down and cried(died)

(4)ああ、ハンカチがいる…。“Paul, you don't need me anymore”って実際にジョンに言われてるのでしょうね。本編には収録されなかった流出映像で見れますが、ジョンが“LET IT BE”のリハで寝転がってベースを弾いたり、曲の演奏中なのにヨーコと帰ってしまうシーンを思い出します。

この時期、ジョン以外の
誰かが誰かに言われててもおかしくないし、言われたと感じていたとしてもおかしくない時期だけに…。

そして第4ヴァースの

oh, darling, please believe me, I'll never let you down

(5)“I'll never let you down”は“DON'T LET ME DOWN”に対するアンサー。
なお、編集されている可能性はあるものの、“GET BACK SESSION”のリハテイクではこの第4ヴァースが第1ヴァースとしてたびたび唄われている。

さてさて、(1)のとおり、ポールはかねてから、こういったオリジナルを短時間に書いて歌ってかつレコーディングを成功させる、ジョンの天賦の才能を羨んでいたからこそ、メチャクチャこの曲のヴォーカルを磨いたのではないんだろうか。
ジョンは後日「この曲は僕向きの曲で彼にセンスがあったら僕に歌わせてたさ」と言っているけれど、私の説であればジョンに歌わせるわけなんかないのだ。

ジョン、“Back in the U.S.S.R”のレコーディングの時、「ビーチ・ボーイズにコーラスをつけてもらえばいいのに」と言ったジュリアンに、「ビートルズがやるからいいんだよ」と答えたんだってね。



ピアノ=ジョン・レノン?

資料によれば、さらっと「ピアノ(ジョン)」とか書いてあるものがある。映画「レット・イット・ビー」をご覧の方なら、このピアノはポールが弾いていると信じて疑うことがない、と思う。そんなにテクニカルなピアノでもない。

もっとも、左手のメロディーとベースがユニゾンとなっているようで、かなりパワフルなピアノでもあることから、左利きのポールが自ら弾いたはずである、との説も有力である。

ただ、ゲット・バック・セッション終盤の1月27日の録音は、アンソロジーに収録されており、このテイクにはピアノが収録されていない。ビリー・プレストンがオルガンを弾き、ポールはベース、ジョンはギターを弾いている。したがって、すでにこの時点でポールの頭の中のアレンジでは自らピアノを弾く考えがなかったのかもしれない。
このことと、例のジョンの発言にみるとおり、またアンソロジー・ヴァージョンを聴いてみても、ジョンのテイクが存在する可能性もゼロではないかもしれない。

アンソロジー・ヴァージョンでは2ndヴァースからジョンが絡んできて、“ONE AFTER 909”のようなハーモニーを聴かせている。しかし“COME TOGETHER”では「ジョンとはもう昔のようにはハモれなかった」とこぼしていたポールだが、一方で最終的に自分の曲でジョンをハモらせていない。

セッション中、他のメンバーより先に来てこの曲のヴォーカル・レコーディングを行っていたのは有名な話だが、アラン・パーソンズが言うには、それも1日1回だけしかやらなかったそうである。というのは何度もやると声が変るので、粗削りな感じが出ないからである。
…大丈夫ポール、こいつは“DON'T LET ME DOWN”も“I'M DOWN”も超えているよ。


ダーリン=リンダ?

そうは言っても、この頃ちょうどリンダと出遭った頃だし、68年末にはリンダとニューヨークに行って楽しい時間を過ごしているからこそむしろ、こういった詞が書けたのかもわからないし、R&Bスタイルの曲作りもハーレムで着想したかも、と考えるのが真っ当かもしれない。

ヴォーカルに耳を奪われるが、演奏も素晴らしい。ピアノ、ドラムス、ベース、オルガンのようなギター(実際のオルガン・パートは削られている)、ストリングスようなコーラス…。すべてのパートが聞こえるのは、全部が“効いている”からである。


イントロの、ヴォーカルの最初のキーを確認するようなピアノのコードも素晴らしい。これがこの曲の詞やメロディが持つ甘美な感触を暗示し、際立たせる役割を果たす。
またエンディングも然り。リンゴの軽快なドラミングのあと、“ジャン、ジャーン”で終わることで余韻を生み、前曲以上にバンドっぽいと思う。

こういうアレンジは、レイ・チャールズを始めとする、R&B楽曲の影響なのだろうか…。(00・10)

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